エンジン換装 〜その4「圧縮比算出・ヘッドオーバーホール」
ピストントップの窪みの容積測定です。
まずピストントップに積もっているカーボンを剥がし落としてよく見ると・・・
0.2mm突き出していると思っていたピストンが、逆に0.2mm引っ込んでいます。また、平らでバルブリセスだけ彫れていると思っていたピストントップは中央部に向かってお椀形に窪んでいます。どちらも嬉しい誤算です。
準備が整ったので、ガラス板と注射器を使ってピストントップ容積を測ります。
注射器は、とあるルートで病院で使っている本物の医療用の注射器がただで手に入りました。「針は太いの細いの長いの短いのどれがいい?針だけは返してね」って聞かれましたが、んなもんどれだっていいです、針はちゃんと返します。1cc用のモノはかなり正確で、0.01ccまで測定できます。なお、注入するのは灯油です。
がしかし、思った以上に難しいです。無理して灯油なんか使うからでしょうか?ガラス板の隙間から灯油が漏れたり気泡が入り込んだり・・・シリンダ上部とピストントップの0.2mmの段差が無ければまだ簡単なんだと思いますが、これではまともに測れません!おまけに注射器の扱いも案外難しいです。看護師さんや医者も大変なんだな、と妙に感心してみたりしました。なんとかわかったのは、
5cc以上7cc未満である!!、という情けない結論・・・。
作業に裂ける時間も限られているので、以上の結果から圧縮比を推測します。
シリンダヘッド電卓で色々試算し、これだ!と思ったのが下の表です。
GDA・EJ205
ストローク |
75.00 |
ボア |
92.00 |
G/K厚さ |
0.80 |
G/K直径 |
93.50 |
燃焼室面積(推定) |
61.20 |
ピストン容積(推定) |
6.20 |
ピストン突出量(実測) |
-0.20 |
燃焼室容積(推定) |
49.30 |
圧縮比 |
9.00 |
|
EJ20Kヘッド+EJ205腰下
ストローク |
75.00 |
ボア |
92.00 |
G/K厚さ |
1.50 |
G/K直径 |
93.50 |
燃焼室面積(推定) |
60.00 |
ピストン容積(推定) |
6.20 |
ピストン突出量(実測) |
-0.20 |
燃焼室容積 |
45.00 |
圧縮比 |
8.93 |
|
そう、ピストントップ容積がEJ207と同じ6.20ccであるとするとつじつまがあうのです。EJ205とEJ207は燃焼室容積もピストントップ容積も同じで、1.3mmのピストン突き出し量の差が圧縮比の差1.0になっている???のだと推測しました。間違っている可能性大ですが・・・。どなたか真実をご存知の方は教えてください。
なにはともあれそう信じることにして、EJ20Kヘッド&ガスケット+EJ205腰下&ピストンを組み合わせた場合の圧縮比は、
8.8〜9.0ぐらいです!・・・多分
無理矢理っぽいですが、9.0を超えないならいいとします。このくらいなら、常にノッキングしてまわらない、ってことにはならないでしょう。そもそもGDAはノーマルで9.0なんだからそこまで慎重に考える必要なし!?
ECUを、250馬力である同年式のGF8(NotSTi)のものに換えて気休めとします。タービンもカムも違うので単純に250馬力にはならないでしょうが、少なくとも最大ブーストはいくらか下がる(1.1→0.75Kgf/cm2?)はずです。あわよくば進角も遅くなってるかも知れません。
さて、懸念事項だった圧縮比の問題も一応片が付いたので、ここからは当たり前の作業の積み重ねになりますが、地道な面倒くさい作業の連続で憂鬱です。
ヘッドブロックをサンエスK-1に漬け置き洗浄した後、バルブ擦り合わせをします。たこ棒を使って手にタコができます。バルブ周辺部品は各気筒の部品が混ざらないように、以前ハチロクのエンジンをバラした時に作った「手延そうめん揖保乃糸」木箱改ValvePartsSubdiviisionBoxに入れ、子どもや妻や猫や
熊にいじられない場所に保管しておきます。・・・いや、冗談じゃなくて最近うちの前の道を熊が歩いているのが何度か目撃されてるのです。夜間の作業は、背後から熊が襲ってこないかと結構ビクビクしながら作業してます。
時間が惜しいので燃焼室洗浄もバルブすり合わせも「一応やりました」ぐらいの、気持ち程度で妥協します。
腰下は配管類移植を終え、いつでもOKの状態です。EJ205のクランクケースに付いているブローバイ配管はインマニと干渉して邪魔になるらしいので盲蓋(その辺に転がってたカーテンレールの部品)をはめて撤去します。また、クランクシャフトスプロケのクランク角センサーピックアップ部の突起の数が20Kと205で違いますので、ここは20Kのスプロケを使います。
バルブを組み付け、タペットクリアランスの測定です。整備解説書がないので標準値がわかりませんが、IN:0.15mm・EX:0.20mmで組むのがいいくらいらしいのでこれでいきます。(ハチロク4AGはIN:0.10mm・EX:0.20mmで組んでいたのでイン側はもう少し狭くてもいいかも知れませんが・・・。)誤差±0.02mmを目標にしてみます。
エクセルで作った「
EJ20K用理想シム厚自動計算表(シム品番入)」を使うと多少時間の節約になります。
しかしどう組み合わせても現有のシムでは足りないのでシムを何個か発注します。
シム到着まで作業中断。
備忘メモ
ボアサイズ符号 |
|
ボアサイズ符号 |
R 後 L |
B
A |
|
C
A |
@
B |
A
A |
前 |