廃油ストーブの制作、その2

 以前、たまりにたまった廃オイルを処分するために廃油ストーブを作ったが、ブローワーによる強制吸気式なため、うるさくてほとんど使わず鉄くずとなっている。

 知りあいから廃ガスボンベをもらったため、今度は送風機も電源もいらない自然吸気式廃油ストーブを作ってみようとふと思いたった。

 自然吸気式廃油ストーブというと、OldTimer誌38号に掲載されたものが有名だ。これを少し簡略化して作ってみることにした。
 とりあえず材料を集める。

 ガスボンベはオールドタイマー誌掲載の10kgボンベよりも少し小さいものを使用。外径250mmくらい。

 鉄板は、誌ではサブロク鉄板から部材を切り出しているが、そんなに大量に鉄板はいらないので300mm×300m、t4.5mmを2枚購入。これなら田 舎のホームセンターにも売っているし2枚で1,500円程と安くで買える。

 煙突は身近に適当な鉄管がなかったので、マフラー用の外径90mm、t1.6mmの鉄パイプを購入。誌掲載のものより少し小径だ。誌では90Aのガス管 を使ってるようだが、内径90mmの鋼管は結構高い。マフラーの材料であるこの鉄パイプなら3,500円くらいで手に入る。

 あとはオイル給油口などが必要だがそれは後で考えることにする。
 いつものように超精密な設計図を書いた。

 誌のものとの大きな違いは、ボンベを半分に切ってしまわず丸々使うこと。
 理由は簡単、ボンベを真っ直ぐに切断し、底板を円周ぐるり漏れ無く溶接する自信がないからである。
 反面、火口鉄板の下部の構造や溶接が難しくなるが、それが出来なければボンベを切断してやり直せばいいだけなのでチャレンジしてみることにした。

 また、私の環境では鉄板を切断する道具はエアソーとグラインダーと高速切断機しかなく、円形に鉄板を切断するのは難しいため、各パーツはできるだけ直線 に切断するようにした。
 自然吸気式廃油ストーブの命は二次燃焼室、つまり煙突に開ける穴のようだ。
 ここだけは誌掲載のとおり比較的キッチリ造るため、タコ糸でパイプ円周を11分割(32.727272度)し、パイプの端から50mmの所から縦に 30mm間隔で印をつけ、ポンチを打っていく。
 ボール盤で径4mmの穴を空けていく。

 合計231個、結構大変です。

 煙突完成。

 これを機にあらたにボール盤を購入。ドリル刃を2,3本折る覚悟だったが1本も折らなかった。電気ドリルでやってたら2,3本折ってたと思う。すごいぞボール盤!

 仕事から帰って晩飯までの時間に1日3列をノルマと課して3日かかって完成。



 次はボンベに水を満たしガスを追い出して穴をあける。

 プラズマやガスといきたいところだがそんな設備はないのでエアソーを使用。

 思いのほかきれいに切れた。

 鉄板も切り出した。

 火口上下面のボンベと接する部分の曲線がなんとも厄介だ。ボール紙で型を作っておいて写して切り出し、最終的にはグラインダーで削ってあわせる。

 寸法はオールドタイマー誌のものと全く同寸法とした。
 ただし、ボンベのサイズが違うので曲線部のアールが異なり、またボンベを丸ごと使うので火口底部のフチ板が必要なため追加している。

 可変一次エア取入口はこのようになった。

 吸入口もフタも半月状にしたいところだが切断工具の関係で直線吸入口&八角形フタとした。

 吸入口のサイズは誌のものより細長く、8mm×130mm。
 なぜかというと「13mm×80mm」を読み間違えたからである。計算結果は同じである。

 各部品をタンクにあてて仮止めし、位置合わせをして仮溶接、その後本溶接で各パーツが完成。

 逆火防止板隙間は誌のとおり、7mm。

 二次燃焼室の形状も大事だが、この一次空気吸入口の形状も大事だ。
 可変一次エア取入口の面積とこの一次空気取入口の面積を同じにしておくことが必要だ。

 後回しにしていた燃料タンクは、水道管に空き缶をロウ付けして作ろうとしたが、ロウ付けが難しくて断念した。

 結局余った鉄板で升を作って水道管に溶接した。後々何かを変更することがあるかも知れないので着脱式とした。

 熱された廃油が気化して煙が立ち上るので、後で蓋も作った。

 ここまで準備できればあとはひたすら溶接するのみ。

 可変一次エア取入口のヒンジ部分は当初、丁番を考えていたのだが、取り付けるスペースが無くなったので余った鉄板を溶接して穴を開けてボルトで取り付けた。

 完成!

 


 早速廃油を放りこんで試運転。

 燃焼状態(youtube)

 最初は灯油を少々入れ、一次エア取入口を空けて安定燃焼を待つ。
 ボッボッボッ、バスッバスッと機関車のような音をたてながら火の勢いが強まったところで蓋を閉め、可変一次エア取入口を調整する。

 安定燃焼手前くらいで一次エア取入口を空けているとバックドラフトしそうで結構怖い。

 一旦安定燃焼に入ると煙突から炎を吹き出しながら想像以上に勢い良く燃焼する。
 可変一次エア取入口を調整すると、煙突内の二次燃焼の位置が少しあがったりさがったり可変するのだが、全閉でも煙突からの炎はおさまらない。逆火防止板の隙間が広すぎたかな?

 しばらくすると、煙突の二次燃焼が一番盛んに行われているであろう部分が赤熱してくる。燃焼温度は800度C前後くらいには上がってるようだ。
 折角吹き付けた600度C対応の耐熱塗料がポロポロと剥がれてしまった。

 また、始動後安定燃焼までの間、まあまあ黒煙が発生する。安定燃焼後も基本無煙ではあるが、多少黒煙を伴う。

 しかしながら、総じて、思ってたよりうまく燃焼している。一次燃焼室の容積が小さめなので心配だったがこれだけうまく燃えれば満足である。

 さあ、溜まった廃油を燃やすぞ!!



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