もっとスピードが欲しい!
頑張っても最高速度55km/hというのはつらい。ただでさえ目立つ変わった乗り物なのに、通勤途中に渋滞の原因になってしまってイライラされて気付か
ぬうちに敵を作ってしまっている気がしてならない。毎日同じ時間に同じ車に出会うのが通勤というものだ。二輪なら遅くても横を追い越ししてくれるのだが三
輪なので追い越しもできない。
せめて60km/h出てくれればそれでいい。わずかな違いではあるが、50km/h出るか55km/h出るか60km/h出るか、このあたりのスピード
域ではこの僅かな違いにかなり大きな違いがある。充分ではないがパワーはあるので、ギア比だけの問題だ。
モンキーやカブならドライブスプロケかドリブンスプロケを変えるだけで済む話なのだが、
モトラゆえにFスプロケは15Tしか無い。Rスプロケはホーシングをバラシてモンキー用のスプロケを加工して取り付ければいいのだが、このトライクキッ
ト、デフケースが異常に固くはまっていてどう頑張っても取り外せないので、どうにかしてフロントのスプロケを17Tに変えたい。
そこでまず考えたのはモトラのフロントスプロケの歯を削り取って、モンキー用のスプロケに穴を空けたものを溶接する方法。しかし歯を削るのも穴を空ける
のも硬そうで、旋盤がない環境では難しそう。
もっと簡単に出来る方法はないか?
ジャズかマグナのカウンターシャフトに交換してそれでも足りない分をオフセットスプロケで調整すればいいのか、でもクランクケース割るの面倒くさくて嫌
だ。ガスケットや消耗部品を替えたりしてたら、結局エンジン腰下を普通のカブ系の中古エンジンに交換して、オフセットスプロケでチェーンラインを合わせた
方が手軽に安くできそうな気がする。
そこでモトラに載せられるエンジンを調べてみる。
1 どの種類のカブ系エンジンもエンジンマウントは同じっぽいので、物理的には搭載可能。
2 6VCDI点火のエンジンが望ましい(フライホイールとジェネレーター一式を移植できれば6VCDI点火にこだわらなくてもよい。ただし、その為に
はクランクシャフトがモトラと同じ通称Rクランクのものでないとダメ。)が、12VCDI点火でもそのまま使えないことはない。
上記の条件にあてはまれば、つまり、6VCDI点火のエンジンかRクランクのエンジンであれば何でも、比較的簡単に搭載可能だと思う。(というか、カブ
系エンジンなら何でも小加工、若しくは無加工で搭載可能な気がする。)
が、さらに条件を加えてみる。
4 中古エンジンが安価で手に入りやすいこと。(6vのCDI点火のエンジンがベストだが、6vから12vへの移行期の少しの間だけしか製造されてないの
でタマ数が少ない。)
5 折角のトライクなので、クラッチ操作したくないため、遠心クラッチのエンジンであること。(出来れば4速ならいいがエンジン相場が高いので手が出な
い)
6 一次減速比も各ギア比もモトラと同じであればありがたい。
となると、条件に当てはまるのは、C50スーパーカブ・プレスカブ・リトルカブ・後期型角目シャリー・R型クランクのDAX50のエンジンとなる。
(ジャズやマグナエンジンならカウンターシャフトがカブ・モンキー等より外側に20mm長いしある程度数も出ていて丁度よいのだが遠心クラッチではないの
で不
可。DAX50は6V、12V、遠心クラッチ、マニュアルクラッチ、Rクランク、Lクランク、Sクランクが混在していて訳が分からないので除外。)
と、ここまで考えてふと、二次減速比がいじれなくても一次減速比を変更できるんじゃないか?と思いつく。
調べてみると、ドンピシャの情報が見つかった。
CRF70が、遠心クラッチ装備で一次減速比が3.722(プライマリギアセットが18T/67T)らしい。(モトラ純正は一次減速比4.058
(17T/69T))
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早速買ってみた。
左がモトラ純正、右がCRF70純正。
23110-098-740
ギヤー、プライマリドリブン(67T)
23120-041-000
ギヤー、プライマリードライブ(18T)
この写真には写っていないがこの他に
23112-041-050
アウター、ドライブギヤー(18T)
も必要なので購入。
一次減速比を変更せずにフロントスプロケだけを16.5丁に替えたくらいのギア比になる。
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クラッチアウターカバーをインパクトドライバーで外す。
このクラッチアウターカバーは遠心分離式オイルフィルターになっているため、中に粘土みたいなダストが溜まっている。 |
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回り止めにマイナスドライバーをかませておいて、クラッチアウターをロックナットレンチで外す。
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クラッチ一式が外れる。
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CRF70のプライマリギアセットをはめる。
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クラッチをバラしてドライブギアアウターを交換する。右上に写っているのが18Tアウター。
しかし、カブエンジンって合理的かつコンパクトで無駄がないくせに丈夫な、凄いエンジンだと再認識。
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フリクションプレート残り溝、3枚とも新品時の約半分。
まだ使えるのでそのまま再使用。
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変えてみた結果、少し最高速がアップした。が、まだパワー不足のようで55km/hくらいで頭打
ちになる。
ここまでしたら意地でも60km/h出るようにしてやる。
もっと上まで回すためにハイカムを入れてやる。
そのため、アフターパーツのハイカムが皆無に等しいモトラヘッドをすっぱり諦めて、12Vスーパーカブの中古ヘッドを購入。
乗せ換える前にバルブ径を比較してみる。
左:モトラ
IN:20mm
EX:17mm
右:年式不明12Vカブ
IN:19mm
EX:16mm
バルブ径が少し小径になってしまうが、このくらいのライトチューンならバルブ径はそれ程影響しないはず、その分ポートを削った方が効果大である、と自分に言い聞かせてあきらめる。
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そしてポートを拡大
EX:19パイ |
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IN:20mm
ちなみにモトラの純正ポート測ってみた結果。
IN:18mm
EX:17mm
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ハイカムはINOPEN12°BTDC、EXOPEN50°
BBTCのキタコのノーマルヘッド用SPLハイカムと同プロフィール品を投入し、インマニを、スーパーカブ用の入口から出口まで21パイのものに交換し、マフラーを
キタコのレーシングマフラーに戻し、PC20
キャブのメインジェットを#82から#85にアップ。
交換前後比較
インマニ径 16パイ→21パイ(+5mm)
ポート径 IN:18mm→20mm(+2mm) 、 EX:17mm→19mm(+2mm)
バルブ径 IN:20mm→19mm(-1mm) 、 EX:17mm→16mm(-1mm)
案外大切なのは、キャブ出口からバルブまで、途中で絞らないこと。これで純正の16パイインマニを使ってしまうとかなりパワーが絞られてしまう。
これでやっと60km/h出るようになった。長い直線(私有地)で65km/hまで確認。低速から高速までトルクも充分。
これなら充分実用になる。
しかし、これがトライクでなく普通の二輪のモトラならもっと速度が出るはずなのだが、高速になればなるほどリアの抵抗の影響が大きくなってきているような気がする。
が、止まらない曲がらないこのモトラトライクで65km/h以上出ても怖いだけだし、中華デフの耐久性が心配なのでこれでいいのだ。
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